季節はずれの恐怖体験
2008.02.10 Sunday
めずらしく連続更新。
書き忘れてたことを思い出したので。
あ、そういえば、テンプレートを変えました。
今回の記事には雰囲気合ってませんけど。
しかも取ったこと覚えてないんですけど。……いつ取ったのかなぁ?
さてと。
ちょっと趣向を変えて小説風に。
それは、ただ楽しいはずのサークルの集まり。少し遅れた新年会として、バイキングチェーン店での夕食。その後はカラオケと、大体いつものパターンだった。
そろそろ店を出るだろうか。そんな時に同じテーブルについていた先輩Kが、ウェストポーチを探りながら慌てて言った。
「あれ? ケータイがない。おかしいな、ほかの所に入れるはずないんだけど……」
私を含めて、そこにいた人は一瞬ぎょっとしたが、すぐに、
「学校で使ったのは覚えてるから……そこに忘れたかなぁ」
という本人の予想に笑った。
毎週木曜日は、いつも学校に集まってカードゲーム。それはお決まりで、テストも終わって、来るはずのない休日に集まるほどだ。いつもは見もしない私だが、今日はたまたまべつの用事で学校にいたから、彼が携帯電話を使っているのを目撃していた。
だから、入れたつもりで落としたのでは、とたいして心配もしなかった。落とし物なら、用務員さんあたりが事務に届けてくれるだろう。そう思ったから。
それでも一応私は、
「どっかに紛れてるかもしれないし、一応かけてみるね」
と言って自分の携帯電話を取り出した。すぐにメモリーを呼び出して発信する。
プルルル……プルルル……プルルル……
数回の発信音のあと、私はKを見た。彼は、
「うーん、どこも振動しないし、やっぱりないなぁ」
と首を振った。
なら、やはり学校に忘れたんだろう。そう思って発信を切断しようとした時。
(……あれ? コール音が途切れた……)
とディスプレイを見てみる。すると、
(え……、『通話中』……?)
たしかに携帯電話のディスプレイには『通話中』とはっきり表示されている。ついさっきまでは『呼出中』だったはずなのに。
私はおそるおそる声をかけてみた。
「も、もしもし?」
ぎょっとしたのは私の周囲の人たち。おなじテーブルの、私を除いた4人は、皆一様に私をまじまじと見つめている。いや、正確には私の持つ携帯電話を、だろうか。
「繋がってるの?」
「え、ねえ、まさか……」
「………」
信じられないという表情で声をかけたり、ただ驚愕している。私だって驚いている。いや、むしろこれは恐怖に近い。なぜなら、
いくら声をかけても、向こうからはなにも聞こえてこないのだから。
私は携帯電話を耳から離し、もういちどディスプレイを見つめる。しかし、何度見直しても『通話中』となっているし、1秒ごとに通話時間のカウントは増えていく。
私は携帯電話の向きを変えて、その場の全員にぐるっと見せた。
「ねえ、あのさ、『通話中』にはなってるんだけど、向こうからなにも聞こえてこないんだけど……」
そう言うと、周りはさらにぎょっとする。その中の1人Nさんが、私の手から携帯電話を取り、通話口に向かって、
「すいません、そのケータイの持ち主なんですけど」
と話しかける。彼女は持ち主ではないが、本来ならば私もそう話しかけるべきだったのかもしれない。
そして、彼女も2,3回話しかけてみてから首を振った。やはり向こうはなにも言わない。
また携帯電話は私の手に戻ってきた。私ももういちど声をかけてみたが、やはり変化はなく、もうそれ以上はなにも言う気になれなかった。
ディスプレイを見ると、もうそろそろ2分になるところだった。そこでKが、
「もう電話は切っていいよ」
と言うので、私は逆らうことなく接続を切った。
「今の、なんだったんだろう……」
誰かが落ちている携帯電話を拾い、そのまま盗んでしまったのか。そんな想像すらできたが、K本人はあくまで楽観的に、
「学校の机の上から、ケータイのバイブで落っこちて電源が入っちゃったとか?」
と笑うが、私はそれには賛成できない。彼の携帯電話は、私のものと同じ折りたたみ式だ。たとえバイブレーションの衝撃で落ちても、さらにそれで開いたとしても、通話ボタンが押されるなんて有り得ないことだ。
私がそれを言うと、Kは苦笑いで「うーん」とだけ言った。たしかにそれ以外の想像などしたくはないが。
「……念のために、もう一回かけてみるね」
そうすれば分かる。机から落ちたなら、今度こそコール音は鳴り続けるはずだ。そうなれば、少しは安心できる。わずかな希望を持ってリダイヤルボタンを押す。
プルルル……プルルル……プルルル……プツッ
(……あれ?)
ほんの数回でコール音は途切れる。まさか、と思った私の耳には、
『……留守番サービスに接続します。ピーッという音のあとに……』
という女性の声。
「留守番電話……」
つぶやいた私に、Kは、
「ああ、うん、設定してあるから」
と笑った。
一瞬ほっとしかけるが、それが間違いだと気付く。
「……じゃあ、さっきはなんで留守電にならなかったの? さっきの方がコール数多かったのに……!」
そうだ。おかしいだろう。同じコール数で留守番電話サービスに行くはずなのに。さっきの方がコール数が少ないならともかく、多かった。明らかに、そんなこと有り得ない。
「………」
まるで、人間以外の『なにか』が関わっているみたいな……。
具体的に想像するなら、幽霊とかお化けとか呼ばれるものが勝手に電話に出たというような。
馬鹿馬鹿しいと理性では思うが、実際に起こらないはずのことが起きている。しかし、これ以上はどうしようもない。確かめてみなくては。
Kは食事が終わったら学校に行ってみて確認すると言って、その場は終わりになった。ほんのかすかな言いしれなさを残して。
しかし、これで終わってはくれなかったのだ……。
食事が終わり店から出てみると、Kが自分のカバンを持って走り寄ってきた。それもひどく慌てている。なにかと思って彼の手に握られている『携帯電話』を見た。
「えっ……!?」
なぜここに? カバンに入れたまま忘れていた? いや、そんなことはどうでもいい。本当に考えるべきなのは……。
カバンに入っていたのなら、机から落ちて間違えて通話ボタンが押された、という仮説が、本当に有り得ないものとなったことだ。
「………!」
ますます信じられない事態になってきた。とりあえずは盗まれたわけではないことに安堵するが、すぐに思考を切り替える。ならば、なぜさっき通話になったのか。
「ねえ、着信履歴、確認してみて!」
どうなっているはず、という予想があったわけではないが、確認しなければならない。それだけは思ったから。
Kもすぐに頷いて携帯電話を開く。
「え……?」
Kの動作が凍る。
「ね、着信履歴ちゃんとあった?」
「うん。あったよ。あったけど……不在着信になってる」
つまり、通話など無かったということだ。
「え、ま、待って。2件とも? 2回かけたうちの、1回目も不在になってるの?」
「うん、ほら」
見せられたディスプレイは、たしかに私の携帯電話からの着信を2件知らせている。そのどちらも不在着信として。
「………!」
背筋に悪寒が走る。ふるえるのは、寒さのためではない。
なら、1回目の電話に出たのは、だぁれ……?
……ハイ、怖いですねー。
表現は少し大げさにしましたけど、いや、むしろ実際の方がきゃーきゃー騒いでましたけど。でも、あったことはぜんぶ本当です。
私のケータイを確認しても、ちゃんとKに電話してました。間違えてません。いや、間違えてるわけないんですけどね。Kのケータイには私からの着信があったんですし。
うふふ、怖いですねー♪
実際にこんな恐怖体験ができるとはー♪
……うん、ほんとはめちゃくちゃ楽しいです。その辺は上のにウソが書かれてるかも(笑
まわりの人たちも楽しそうに騒いでましたし。
いやー、自ら電話かけてよかった♪
こんなオイシイ役目を他人に譲りたくなんてありません♪
これを読んでくれた人、あなたにもこんな恐怖体験ありませんか……?
書き忘れてたことを思い出したので。
あ、そういえば、テンプレートを変えました。
今回の記事には雰囲気合ってませんけど。
しかも取ったこと覚えてないんですけど。……いつ取ったのかなぁ?
さてと。
ちょっと趣向を変えて小説風に。
それは、ただ楽しいはずのサークルの集まり。少し遅れた新年会として、バイキングチェーン店での夕食。その後はカラオケと、大体いつものパターンだった。
そろそろ店を出るだろうか。そんな時に同じテーブルについていた先輩Kが、ウェストポーチを探りながら慌てて言った。
「あれ? ケータイがない。おかしいな、ほかの所に入れるはずないんだけど……」
私を含めて、そこにいた人は一瞬ぎょっとしたが、すぐに、
「学校で使ったのは覚えてるから……そこに忘れたかなぁ」
という本人の予想に笑った。
毎週木曜日は、いつも学校に集まってカードゲーム。それはお決まりで、テストも終わって、来るはずのない休日に集まるほどだ。いつもは見もしない私だが、今日はたまたまべつの用事で学校にいたから、彼が携帯電話を使っているのを目撃していた。
だから、入れたつもりで落としたのでは、とたいして心配もしなかった。落とし物なら、用務員さんあたりが事務に届けてくれるだろう。そう思ったから。
それでも一応私は、
「どっかに紛れてるかもしれないし、一応かけてみるね」
と言って自分の携帯電話を取り出した。すぐにメモリーを呼び出して発信する。
プルルル……プルルル……プルルル……
数回の発信音のあと、私はKを見た。彼は、
「うーん、どこも振動しないし、やっぱりないなぁ」
と首を振った。
なら、やはり学校に忘れたんだろう。そう思って発信を切断しようとした時。
(……あれ? コール音が途切れた……)
とディスプレイを見てみる。すると、
(え……、『通話中』……?)
たしかに携帯電話のディスプレイには『通話中』とはっきり表示されている。ついさっきまでは『呼出中』だったはずなのに。
私はおそるおそる声をかけてみた。
「も、もしもし?」
ぎょっとしたのは私の周囲の人たち。おなじテーブルの、私を除いた4人は、皆一様に私をまじまじと見つめている。いや、正確には私の持つ携帯電話を、だろうか。
「繋がってるの?」
「え、ねえ、まさか……」
「………」
信じられないという表情で声をかけたり、ただ驚愕している。私だって驚いている。いや、むしろこれは恐怖に近い。なぜなら、
いくら声をかけても、向こうからはなにも聞こえてこないのだから。
私は携帯電話を耳から離し、もういちどディスプレイを見つめる。しかし、何度見直しても『通話中』となっているし、1秒ごとに通話時間のカウントは増えていく。
私は携帯電話の向きを変えて、その場の全員にぐるっと見せた。
「ねえ、あのさ、『通話中』にはなってるんだけど、向こうからなにも聞こえてこないんだけど……」
そう言うと、周りはさらにぎょっとする。その中の1人Nさんが、私の手から携帯電話を取り、通話口に向かって、
「すいません、そのケータイの持ち主なんですけど」
と話しかける。彼女は持ち主ではないが、本来ならば私もそう話しかけるべきだったのかもしれない。
そして、彼女も2,3回話しかけてみてから首を振った。やはり向こうはなにも言わない。
また携帯電話は私の手に戻ってきた。私ももういちど声をかけてみたが、やはり変化はなく、もうそれ以上はなにも言う気になれなかった。
ディスプレイを見ると、もうそろそろ2分になるところだった。そこでKが、
「もう電話は切っていいよ」
と言うので、私は逆らうことなく接続を切った。
「今の、なんだったんだろう……」
誰かが落ちている携帯電話を拾い、そのまま盗んでしまったのか。そんな想像すらできたが、K本人はあくまで楽観的に、
「学校の机の上から、ケータイのバイブで落っこちて電源が入っちゃったとか?」
と笑うが、私はそれには賛成できない。彼の携帯電話は、私のものと同じ折りたたみ式だ。たとえバイブレーションの衝撃で落ちても、さらにそれで開いたとしても、通話ボタンが押されるなんて有り得ないことだ。
私がそれを言うと、Kは苦笑いで「うーん」とだけ言った。たしかにそれ以外の想像などしたくはないが。
「……念のために、もう一回かけてみるね」
そうすれば分かる。机から落ちたなら、今度こそコール音は鳴り続けるはずだ。そうなれば、少しは安心できる。わずかな希望を持ってリダイヤルボタンを押す。
プルルル……プルルル……プルルル……プツッ
(……あれ?)
ほんの数回でコール音は途切れる。まさか、と思った私の耳には、
『……留守番サービスに接続します。ピーッという音のあとに……』
という女性の声。
「留守番電話……」
つぶやいた私に、Kは、
「ああ、うん、設定してあるから」
と笑った。
一瞬ほっとしかけるが、それが間違いだと気付く。
「……じゃあ、さっきはなんで留守電にならなかったの? さっきの方がコール数多かったのに……!」
そうだ。おかしいだろう。同じコール数で留守番電話サービスに行くはずなのに。さっきの方がコール数が少ないならともかく、多かった。明らかに、そんなこと有り得ない。
「………」
まるで、人間以外の『なにか』が関わっているみたいな……。
具体的に想像するなら、幽霊とかお化けとか呼ばれるものが勝手に電話に出たというような。
馬鹿馬鹿しいと理性では思うが、実際に起こらないはずのことが起きている。しかし、これ以上はどうしようもない。確かめてみなくては。
Kは食事が終わったら学校に行ってみて確認すると言って、その場は終わりになった。ほんのかすかな言いしれなさを残して。
しかし、これで終わってはくれなかったのだ……。
食事が終わり店から出てみると、Kが自分のカバンを持って走り寄ってきた。それもひどく慌てている。なにかと思って彼の手に握られている『携帯電話』を見た。
「えっ……!?」
なぜここに? カバンに入れたまま忘れていた? いや、そんなことはどうでもいい。本当に考えるべきなのは……。
カバンに入っていたのなら、机から落ちて間違えて通話ボタンが押された、という仮説が、本当に有り得ないものとなったことだ。
「………!」
ますます信じられない事態になってきた。とりあえずは盗まれたわけではないことに安堵するが、すぐに思考を切り替える。ならば、なぜさっき通話になったのか。
「ねえ、着信履歴、確認してみて!」
どうなっているはず、という予想があったわけではないが、確認しなければならない。それだけは思ったから。
Kもすぐに頷いて携帯電話を開く。
「え……?」
Kの動作が凍る。
「ね、着信履歴ちゃんとあった?」
「うん。あったよ。あったけど……不在着信になってる」
つまり、通話など無かったということだ。
「え、ま、待って。2件とも? 2回かけたうちの、1回目も不在になってるの?」
「うん、ほら」
見せられたディスプレイは、たしかに私の携帯電話からの着信を2件知らせている。そのどちらも不在着信として。
「………!」
背筋に悪寒が走る。ふるえるのは、寒さのためではない。
なら、1回目の電話に出たのは、だぁれ……?
……ハイ、怖いですねー。
表現は少し大げさにしましたけど、いや、むしろ実際の方がきゃーきゃー騒いでましたけど。でも、あったことはぜんぶ本当です。
私のケータイを確認しても、ちゃんとKに電話してました。間違えてません。いや、間違えてるわけないんですけどね。Kのケータイには私からの着信があったんですし。
うふふ、怖いですねー♪
実際にこんな恐怖体験ができるとはー♪
……うん、ほんとはめちゃくちゃ楽しいです。その辺は上のにウソが書かれてるかも(笑
まわりの人たちも楽しそうに騒いでましたし。
いやー、自ら電話かけてよかった♪
こんなオイシイ役目を他人に譲りたくなんてありません♪
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