「もしドラ」を読んで。
2010.12.11 Saturday
一応、ネタバレとまでいかない程度のことしか書いていませんが、もしも本について書く文章を読みたくない方がいらっしゃったらバックブラウザぷりーず。
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』……このタイトルを知ってる人は多いと思う。最近はどの本屋もランキングの上位にこの本を置いているからだ。
知名度から興味を持ってこの本を読んでみようと思った人も多くいると思う。私もその一人だった。
経済学なんていう頭の痛くなりそうな本を、小説というストーリーに乗せて噛み砕いて説明する。この本の目指すところはおおよそそんなところだろうと思っていて、しかしながら、私も一応は『本が好きだ』といってはばからない人間なので、ストーリーがあるならなんとか読めてしまうだろうという思惑で手を出してみた。
はじめのうちは、こんなことが書いてあるのか、確かに会社だけじゃなく使える概念だな、などと面白がるような態度で読み進めていた。
しかし、これはただ経済書を噛み砕いただけではないとだんだん思い始めた。
ストーリー自体はある種の王道と言っていいものだし、そこに『マネジメント』を組み込んだもの、と言葉では簡単に説明できる。でも、それだけではないと思わせる何かが、私を強く揺さぶった。
ストーリーをざっくりと説明してみる。
主人公のみなみは、突然ある理由から野球部の女子マネージャーになり、『甲子園に連れて行く』と目標を決めてしまう。しかし、監督をはじめとする部員の反応は総じて否定的なものだった。
それを変えるべく、みなみは『マネージャー』または『マネジメント』とは何かを、一から学ぶことにする。そこで書店に立ち寄り、『マネージャーとかマネジメントの本はありませんか?』と店員に尋ねる。すると、渡されたのはドラッカーの著書『マネジメント』だったのだ。みなみは『世界で一番読まれている』と勧められたこともあって、中身を確認せずに購入してしまう。そして読んでみて初めて経済学の本だと気づく。
もう買ってしまったし、値段も高かった。そこで、せっかくだから読んでみようという選択をする。その選択がすべてを変えた。
みなみは『マネジメント』は企業だけでなく、組織というものに対して有効であると知り、野球部の立て直しにこの理論をもとにすることを決めるのだった。
野球部は様々な問題を抱えており、それら一つ一つに対して『マネジメント』の内容をどうにか解釈し、対処していく。やる気のない監督、練習に参加しようとしないピッチャー、無断で練習を欠席する部員……さらには部員一人一人にも思いがけない一面と問題があることを知り、すべて『マネジメント』から解決策を見つけ、ますますなくてはならない本になっていく『マネジメント』。
みなみのマネジメントは野球部だけでなく、その属する高校、さらには地域社会にまで影響を及ぼしていくことになる。
部員が抱える心にまで『マネジメント』の理論は応えてくれる。そして一つずつ強くなり、成長していく野球部。
何もない状態から上り詰めていく様は、いっそ不思議なほど胸を熱くする。今までたくさんの本を読んでたくさんの感動を読んできたと思うのに、それでも目頭が熱くなる。
それは、『マネジメント』が読者である私自身にも変化をもたらしてくれるという予感からくるのかもしれない。常に自分自身に憤り、呆れ、諦め……そういったものを感じているからこそ、少なからず同じものを野球部員、そしてすべての登場人物が持ち、それを克服していく過程に感動を覚えるのだろうか。
私は普段、感動物だといわれる話を読んでも、滅多に涙は出ない。泣けるかどうかは読者一人一人の感性によるところだが、私の場合はせいぜいが涙ぐむという程度である。それが、この本を読むうちに何度も涙ぐみ、しまいにはとうとう堪えきれずにぼろぼろと涙をこぼす始末だ。
自分は薄情なのではないか、感情の振り幅が少ないのではないかとすら思える私としては、これは自分自身でも驚愕だった。
もちろん、これがすべての人に当てはまるとはいえないが、もしも興味を持っている人がいるならば、経済を学ぶ点でも物語を楽しむ点でも、一読してみることを勧める。
だらだらと長文失礼しました。
読んでくれた方ありがとうございます。
久々の更新がいきなりこんなヘヴィーですいませんm(_ _;)m
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』……このタイトルを知ってる人は多いと思う。最近はどの本屋もランキングの上位にこの本を置いているからだ。
知名度から興味を持ってこの本を読んでみようと思った人も多くいると思う。私もその一人だった。
経済学なんていう頭の痛くなりそうな本を、小説というストーリーに乗せて噛み砕いて説明する。この本の目指すところはおおよそそんなところだろうと思っていて、しかしながら、私も一応は『本が好きだ』といってはばからない人間なので、ストーリーがあるならなんとか読めてしまうだろうという思惑で手を出してみた。
はじめのうちは、こんなことが書いてあるのか、確かに会社だけじゃなく使える概念だな、などと面白がるような態度で読み進めていた。
しかし、これはただ経済書を噛み砕いただけではないとだんだん思い始めた。
ストーリー自体はある種の王道と言っていいものだし、そこに『マネジメント』を組み込んだもの、と言葉では簡単に説明できる。でも、それだけではないと思わせる何かが、私を強く揺さぶった。
ストーリーをざっくりと説明してみる。
主人公のみなみは、突然ある理由から野球部の女子マネージャーになり、『甲子園に連れて行く』と目標を決めてしまう。しかし、監督をはじめとする部員の反応は総じて否定的なものだった。
それを変えるべく、みなみは『マネージャー』または『マネジメント』とは何かを、一から学ぶことにする。そこで書店に立ち寄り、『マネージャーとかマネジメントの本はありませんか?』と店員に尋ねる。すると、渡されたのはドラッカーの著書『マネジメント』だったのだ。みなみは『世界で一番読まれている』と勧められたこともあって、中身を確認せずに購入してしまう。そして読んでみて初めて経済学の本だと気づく。
もう買ってしまったし、値段も高かった。そこで、せっかくだから読んでみようという選択をする。その選択がすべてを変えた。
みなみは『マネジメント』は企業だけでなく、組織というものに対して有効であると知り、野球部の立て直しにこの理論をもとにすることを決めるのだった。
野球部は様々な問題を抱えており、それら一つ一つに対して『マネジメント』の内容をどうにか解釈し、対処していく。やる気のない監督、練習に参加しようとしないピッチャー、無断で練習を欠席する部員……さらには部員一人一人にも思いがけない一面と問題があることを知り、すべて『マネジメント』から解決策を見つけ、ますますなくてはならない本になっていく『マネジメント』。
みなみのマネジメントは野球部だけでなく、その属する高校、さらには地域社会にまで影響を及ぼしていくことになる。
部員が抱える心にまで『マネジメント』の理論は応えてくれる。そして一つずつ強くなり、成長していく野球部。
何もない状態から上り詰めていく様は、いっそ不思議なほど胸を熱くする。今までたくさんの本を読んでたくさんの感動を読んできたと思うのに、それでも目頭が熱くなる。
それは、『マネジメント』が読者である私自身にも変化をもたらしてくれるという予感からくるのかもしれない。常に自分自身に憤り、呆れ、諦め……そういったものを感じているからこそ、少なからず同じものを野球部員、そしてすべての登場人物が持ち、それを克服していく過程に感動を覚えるのだろうか。
私は普段、感動物だといわれる話を読んでも、滅多に涙は出ない。泣けるかどうかは読者一人一人の感性によるところだが、私の場合はせいぜいが涙ぐむという程度である。それが、この本を読むうちに何度も涙ぐみ、しまいにはとうとう堪えきれずにぼろぼろと涙をこぼす始末だ。
自分は薄情なのではないか、感情の振り幅が少ないのではないかとすら思える私としては、これは自分自身でも驚愕だった。
もちろん、これがすべての人に当てはまるとはいえないが、もしも興味を持っている人がいるならば、経済を学ぶ点でも物語を楽しむ点でも、一読してみることを勧める。
だらだらと長文失礼しました。
読んでくれた方ありがとうございます。
久々の更新がいきなりこんなヘヴィーですいませんm(_ _;)m
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